learn better を読んでみた感想
learn better はアーリック・ボーザー著のポピュラーサイエンス書です。本書は学習効果を高めるにはどうしたらいいかを科学的根拠に基づいて論じています。
基本的には学習者に向けたメッセージですが、そのないようは教える側にとっても示唆的でしたし、教師側に関するアドバイスも載っていました。
ここでは、lean betterを読んで考えた個別指導講師のあり方について述べようと思います。
まず、現状の個別指導の課題についてです。多くの個別指導は生徒が問題を解き、生徒がわからない問題を講師が解説する形をとっています。確かにこの形態であっても、「必要な箇所に重点的に時間をかけられる」という点で個別指導のメリットはあると思います。しかしこれでは個別指導にある「双方向コミュニケーション」の利点が十分に発揮できていません。
では、どうすれば「双方向コミュニケーション」を活かした指導ができるのでしょうか?
私の導いた1つの答えは、learn better の中で度々出てくる自問自答です。つまり、個別指導の講師は生徒の自問自答を補助することに徹するべきです。
具体的には生徒が出した答えに対して、「どのような根拠でこの答えを導いたのか」を尋ねるべきです。また、生徒が間違えた時は解き直しを促すとともに「どのようなミス」を「なぜしたのか」を生徒に尋ね、生徒が自覚するように促すべきです。
これにはいくつかのメリットがあります。
まず生徒が本当に理解をしているのかを確認することができます。もし生徒が問題を理解していれば回答に至るまでの道筋や根拠を説明できる筈です。「勘で回答した」というのは論外ですが、生徒は理解しているつもりでも実際は教科書や例題で紹介してあった解法をトレースしているだけ、というケースも考えられます。このような時に回答の根拠を説明することは理解を促すことにつながります。
次に応用力が付くことです。生徒の問題演習の様子を見ていると同じ要素を少し変えただけでどこから手をつけたらいいかわからなくなっている生徒が少なからずいます。恐らくは例題の解法をトレースした結果でしょう。回答の根拠を説明できるようになれば少し問題の要素が変わった程度で混乱はしないと思います。
最後に、指導中以外の学習の質向上が期待できることです。生徒に回答の根拠や式変形の根拠を尋ねることで、そのような要素への問いかけを習慣化するようになれば日々の演習での学習効果も上がる筈です。そのように考える理由にはついてはlean betterに繰り返し述べられています。
このように回答の根拠を尋ねていくスタイルは生徒にとって大きな利点があります。
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