性別による役割分担の自然淘汰的仮説
現在読んでいる海の地政学という本には当然ながら戦いに関する記述が多く出てきます。そして、それらの戦いの主体はことごとくが男性です。
男性が戦争の主体となった理由に関してはさまざまなものがあるでしょうが、ここでは戦争において性別に基づく役割分担を行うことが種の保存に優位に働いた可能性について論じてみようと思います。
集団同士が戦ったときに、オスのみが戦うケースとオスとメス両方が戦うケースについて考えてみましょう。
オスのみが戦うケース
オス同士は戦い、どちらかが瀕死の重傷を負うまで戦いは続くでしょう。そして、オスは敗走しますが長くは生きられません。しかし、オスとメスが子孫を残すにあたって長期にわたって生き残る必要があるのは母体であるメスのみです。こうして破れたコミュニティーは子孫を残すことに成功しました。
もし、オスが全員戦死してもメスは他のコミュニティーに身をよせ一部であっても破れた集団の遺伝情報を残すことができます。
オスとメス、両方が戦うケース
オスとメスが両方戦った場合、もし戦いに敗れればコミュニティーは全滅してしまい子孫を残すことができません。それどころか、勝ったとしても戦いの際にメスが傷つきその傷がきっかけで病気になった場合子孫を残すことができなくなってしまいます。
つまり、性別で役割分担をしてオスがより危険を伴うことを行うことは進化の過程では合理的なものであったと言えます。
医療技術が発達し戦争も減った現代においてはこの構図は当然成り立ちませんが、進化の過程で母体の保護を優先したというのは飛躍した発想ではないと思います。事実、社会性昆虫である蟻や蜂は母体である女王を守ろうとします。
最後に、僕は遺伝の研究者でも性差に関する専門家でもなく、ここに書いたことは思いつきに過ぎないことを記しておきます。