錆喰いビスコ 感想
冒頭ではこんなことが書いてありました。
「群馬は以前から新潟栃木と軍事的緊張状態にあり」
主人公の赤星ビスコの放つ矢は当たった場所からキノコを生やします。
その世界ではエスカルゴが軍事利用されています。
一昔前のギャグ漫画か漫画を原作にした実写映画でしょうか?
いいえ、電撃大賞受賞、このライトノベルがすごい大賞受賞の人気作、錆喰いビスコです。
個々の要素を上げていくと完全にギャグ作品なのですが、実際の作中世界は錆風に怯えながら暮らさなければならないディストピア世界です。絶望的な終末的世界を力強く生き抜く人々の作品です。
その終末的世界観と冒頭で書いたギャグ漫画的世界観が融合することで重いけど重くない魅力的な世界観が展開されています。
ただギャグと重さを混ぜる作品なら他にもいくつかあるかもしれません。錆喰いビスコのすごいところはネタとしか思えない要素の数々に重い世界観の裏付けがる点です。どんなにおかしな設定も、終末的な世界観のなかで必然的にこうなったのだと思える説明がしてあるのです。
設定を読み込むだけでも錆くいビスコは読む価値があるでしょう。
設定以外にも仲間のため家族のために満身創痍になりながら闘う、苦しくも軽快な戦闘描写。当然ながら物語を展開させるキャラクターの魅力も素晴らしいです。
個人的には猫川パウーが今後どのようなヒロインに成長するのかがとても楽しみです。
別の作品を挟んで2巻を読みたいと思います。
(冒頭で安酒を煽っていた小役人が最後のシーンでブランデーを飲んでいて、世の中は良くなっているのだな〜としみじみしました)
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